仕事をしていて全く問題が起きないということはありえません。自分のミスから発生したものや理不尽な要求によるもの、解決のためは多くの時間がかかり将来まで影響するものなど、例を挙げればきりがないです。問題解決は通常現場の話し合いで済ませますが、理屈が通じない場合もあります。そんな時に自分の身を守るために必要なものが法律の知識です。正しい法律の知識でもって問題に対応すれば、最悪の事態になっても責任を追及されることはなくなります。今回紹介する本は、難しい法律知識をかみ砕いて説明し、実践で使いやすくしてくれています。まずは目次を読んでみるだけでも、問題解決のヒントがつかめます。
手口は巧妙でも基本対応は変わらない
プロ法律家のクレーマー対応術
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クレームの対応は、仮に会社に専用の部署があってもまずは現場の人が対応しなければなりません。現場の人では会社が定めている基準を正確に知る術がほとんどなく、対応は曖昧になりがちです。ハッキリ言えないとクレームはさらに激しくなり、解決に向けた道が見えてきません。法律の知識があれば、一定基準を超えた顧客をクレーマーとして割り切って対応することができます。
この本では、経験則に頼らない法的根拠に基づいたクレーマー対応を学ぶことができます。著者が掲げる「お詫び」「事実確認」「感情的な対応をしない」「最初のポイントをつかむ」「文章による最終回答を弁護士に任せる」「加害行為には仮処分と刑事告訴で対応」「悪質クレームは記録し対等の指針とする」の7つの鉄則は、知っているだけで最初から最後までブレずにクレーム対応ができます。クレーマーのタイプ別の対応は、具体例で紹介しているので、マネをしやすいです。
出版されてから年月が経ち、クレーマーの手口はますます巧妙になっていますが、対応するための指針は変わることはないです。冷静に分析し法律に基づいた基準で対応すれば、自分に被害が及ぶことなく短期間で解決できるでしょう。
最重要項目なのに意外と知らない基礎知識
現場で役立つ! ハンコ・契約書・印紙のトリセツ
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会社の業務の中で契約の締結は、慎重さを要求される重要項目です。しかしそんな契約書の扱い方をキチンと学んだことはありますか?担当部署の先輩から指導を受けただけというのが大半です。契約書には細かいルールがあり、先輩や上司でも正確に把握していない可能性もあります。教えてもらったことだけを鵜呑みにしていると、いつか大きな失敗をしてしまい、責任を全て追わなければならない事態に発展するかもしれません。
この本では日常業務で扱っているハンコと契約書の扱いについて、体系的に学ぶことができます。紹介している「ハンコ」「契約書」「収入印紙」の役割や使い方、犯してしまいやすいミスは、いままで自分がいかに危ういバランスで契約書を扱ってきたかに気づけます。特にハンコの管理と契約が成立した時の効果の項目は、プライベートで身を守るための知識も身に付きます。
日本はグローバル化が進んだ現在でもまだまだハンコ社会です。契約書にハンコを押すときも押してもらう時も、細心の注意が必要です。一度押して契約書が有効になってしまえば言い訳は通用しません。自主的な法律勉強こそが、自分自身を守るための最短の道です。
業種が違っても適切な対応
業種別ビジネス契約書作成マニュアル
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新規に業務や事業を行う時、今まで関わったことのなかった業種と契約を結ぶことがあります。会社の躍進のためには必要なことですが、いざ契約を結ぶ時にどんな書類を作ったらいいのかわかりません。専門家に聞けばそれなりなものはできるけれど、知識がないため抜けている項目があっても気づくことができないです。他業種の典型的な書類の形式を知っていれば、それを土台に自社に合ったものを作ることができます。
この本は各分野の専門の弁護士によって作成された、業種別の典型的な契約書類例です。紹介されている業種は、「メーカー」「物流・小売」「エンターテインメント」「通信・情報処理」「医療・ヘルスケア」「不動産・建設業」「金融」の7つの分野です。項目ごとに関連する他分野の契約についてクロスレファレンスがあるので、自分の専門分野から類推することができます。契約書のサンプルもダウンロードできるので、ゼロから契約書を製作する手間が省けます。
契約書は専門家に頼り切って作成していると、いつか思わぬところで不備が出てきます。新規事業なら猶更危険度が高まります。失敗の責任を負うのを避けるためにも、基本をおさえておきたいです。また他業種との契約に障害がなくなれば、仕事の可能性を広げることもできるので、チャレンジしてみてください。
泣き寝入りはもうしない
職場のいじめ・パワハラと法対策 第4版
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いじめやパワハラは、ヘタに対抗すると状況が悪化し、退職をせざるをえないところまで行きつきます。何も状況改善できずに他の職に移っても、また同じことが繰り返される可能性もあります。そうならないために、法廷闘争も視野に入れた対策を学んでおけば、最悪の事態を回避することができます。安心して働ける職場環境は、会社任せではいつになるかわかりません。
この本では「いじめ・パワハラ」の定義から始まり、被害者になったときの対処法や使用者側が負うべき対応を紹介しています。発売は2014年と少し古いですが、執筆された時の直近の判例や厚生労働省の指針を掲載し、対応の基準を知ることができます。ところどころ法律の専門用語がありますが、内容は初心者から実務家まで活用できる難易度です。
いじめやパワハラは本来あってはならないものですが、問題解決のため法定闘争まで持ち込むと、同じ職場で働きにくくなるかもしれません。豊富な事例から自分なりの妥協点を見つけて、会社と共に状況の改善を行いましょう。会社がすぐに動いてくれない場合でも、対策を知っているだけで以前より気持ちは楽になります。
ポイントを押さえれば費用は最小限
弁護士に頼らず1人でできる未払い残業代を取り返す方法
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現在の職場で給料は労働時間に見合っただけ支払われていますか?サービス残業や労働時間の切り捨て、権限のない名ばかりの管理職など、残業代の不払いは後を絶ちません。労働相談の件数は年々増加の一途をたどり、社会問題になっています。裁判を起こして未払い残業代を取り戻す例もありますが、勝訴するまでには多くの年月と多大な弁護士費用がかかります。場合によったら取り戻した金額よりお金がかかってしまうのでわりに合いません。そこでもっと短期間で弁護士なしでもできる労働審判が注目を集めています。
この本では一人で労働審判に勝つためのノウハウを学ぶことができます。「残業代の計算方法」「会社への知らせ方」「証拠書類の集め方」「労働審判の申し立て」「和解から残業代回収」の各項目でチェックポイントを抑えれば、会社側が弁護士を立ててきても恐れることはありません。著者は本の執筆当時で、1000件以上の未払い残業代問題の相談に乗った実績があり、本文の解説はトコトン従業員の立場に沿って書かれてわかりやすいです。
請求金額が少額の場合、弁護士に依頼した時点で自身の負担になってしまいます。100万円を超えるような案件でない限り、一人で挑戦した方がいいです。証拠を揃え正統な理由があれば、会社側が弁護士を立ててきても負けることはないでしょう。