働き始めのころは、覚えることばかりで忙しさに翻弄されながらもがむしゃらに働きます。しかし数年間働いて仕事に慣れ、ノルマをこなしていても昇進や昇給がほとんどないと、このままの働き方で本当に良いのかと疑問が湧いてきます。仕事で成功するためのノウハウ本は数多く出版されているけれど、何から始めていいのかよくわかりません。そこで参考になるのが実際に成功した人を真似ることです。成功した人の仕事・人生哲学は時代が変わっても、仕事をするための指針になってくれます。
経営のカリスマが語る芯の通った生き方
生き方
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稲森和夫は京セラと第二電電(現在KDDI)の創業者にして、経営破綻したJALをわずか3年たらずで再建した、日本が誇る実業家です。アメーバ経営と呼ばれる独特な手法で企業を成長させ、大手の企業でもこの方法論を導入しています。また多くの著書を執筆し、本書は刊行10年で100万部を突破するロングセラーとなっています。
冒頭の「才能は不足していたかもしれないが、人間として正しいことを追求するという、単純な、しかし力強い指針があったということです」という言葉通り、学べることは人生において基本的な考え方です。「努力を積み重ねる」、「あきらめずやり通す」、「すみずみまでイメージする」など、当たり前だけどいつしか忘れていた大事なことを思い出せます。
数多くの自己啓発書を読んで上手くいかなかった人が読めば、何が間違っていたのかが分かります。人生を真剣に生きるには、日ごろからの並々ならぬ努力を怠ってはならず、それは成功するために必要なことです。
情熱と戦略をもって戦い続ける
経営学
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小倉昌夫は大学を卒業後、父が経営する大和運輸(現在ヤマトホールディングス)に1948年入社しました。1971年に代表取締役社長に就任後は、現在では一般的になった個人向け小口貨物配送サービスを、民間で初めて開始しました。宅急便システムの完成のため制度緩和で国と戦い、クール宅急便やスキー宅急便など新しいサービスも次々と生み出した、たぐいまれなる戦略と情熱は、亡くなった後も著書から学ぶことが多いです。
この本はヤマトホールディングが今日の形になるのに、どんな苦難を乗り越えてきたかをエピソード形式で知ることができます。著者本の経験から語られるエピソードは生々しく、問題が発生したときに取った戦略の決断は、目先の利益にとらわれない将来を見据えた決断をしています。自分の正しさを信じ障害を乗り越えるための情熱は、読んでいて感動があります。
語られているエピソードは運送業界特有のものですが、その本質はどの業界でも変わらないです。今の仕事を惰性でなんとなく続けているなら、この本のように気概を持って仕事に挑めば、良い結果を残せるでしょう。
変化に対応した仕事
変わる力
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鈴木敏文は日本で初めてコンビニエンスストアト「セブンイレブン」を立ち上げた実業家です。親会社イトーヨーカ堂が小売店「イトーヨーカドー」の出店の力を入れていた1973年に、先見の明をもってコンビニの出店を進めました。POSの導入や銀行の設立も進め、時代の変化を先取りした対応を続けています。
この本は成功に必要なものは、才能ではなく変化対応力であると語っています。変化の激しいコンビニ業界で勝ち続けるためにしてきたニーズをとらえるための努力は、マネをするのは大変だけれども必要なことです。経営者になってからも過去の成功にとらわれず、「朝令暮改」を当たり前として、より良い道を探っています。
著者は2016年にセブンア&アイホールディングスの役職を退任し、第一線から退いています。しかし残した功績は大きく、著者の座右の銘である「変化対応」は、テクノロジーの発達で職種が生まれては消える現在、成功するために身につけておくべき力です。
自分の生き方に自問自答
人生と仕事について知っておいてほしいこと
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松下幸之助は一代でパナソニックを築き上げた、経営の神様の異名を持つ実業家でした。倫理教育のためPHP研究所を立ち上げ、政治家の育成のため松下政経塾の設立もし、1989年に亡くなった後も今日の日本に大きな影響力を及ぼしています。膨大な講演や講和録から現在でも松下幸之助名義の出版物はあり、影響力のすごさを物語っています。
この本はそんな松下幸之助の記録から、人生観や仕事観をテーマにした話をまとめています。語られていることはいつの世も変わらない心構えで、「人事を尽くして天命に従う」、「中庸であること」、「失敗を生かす」などです。1つのテーマを2~5ページで書かれていて、気になるところから読んで生かすことができます。
講演や講和が元だから、読んでいると自分の生き方に語り掛けられているようで、じっくり読んで自問自答をするといいです。マンネリ化していた仕事を楽しむためのきっかけがつかめます。
1%の成功をつかみ取った人間ドラマ
本田宗一郎夢を力に
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本田宗一郎は自動車修理工から身を起こし、世界の「HONDA」としてブランドを確立した実業家で技術者です。ありきたりな成功体験の枠に収まらない、破天荒なエピソードが数多く語られていますが、根底にあるのは仕事に対する真摯な取り組みです。その生きざまを知れば仕事感も変わります。
この本はでは本田宗一郎の生涯を、自伝を中心に知ることができます。三部構成になっていて、第一部「私の履歴書」は本人執筆による回顧録で、第二部は編集者によるその後の話、第三部は本田宗一郎の語録となっています。失敗を繰り返し情熱と工夫、貫き通した信念で掴み取った大きな成功は、仕事への取り組み方を考えさせてくれます。
ここまで大きな成功をするには時代や運もあったかもしれないけれど、前向きな心構えは今でも見習うべきことです。上手くいかないのを自分以外の何かのせいにして、頑張ることをやめてしまっていては、成功はますます遠ざかってしまいます。