新入社員のころからベテランになってまで、仕事の悩みでトップに上がってくるのが人間関係の悩みです。問題可決のために自己啓発書は多数出版されていますが、どれを選んだらいいのか迷ってしまいます。そこで選ぶ基準として、古くから人間関係が研究されている心理学に基づいたものを選んでみてはいかがでしょうか?特に心理学の三大巨匠と言われる、ユング、フロイト、アドラーの考えを元にした本は、古典とは思えないほど現代の悩みに合致した答えを導き出してくれます。
アドラー心理学のブームを作った定番書
嫌われる勇気
Amazonで購入 | 楽天ブックスで購入 | 7netで購入 |
アドラー心理学は、創始者であるアルフレッド・アドラー自身が個人心理学と呼んでいました。言葉の示す通りその考えは、「個人というものは相対的にマイナスの状態からプラスの状態を目指して行動する」という個人を基としています。この考えのため欧米では絶大な支持を誇り、いま日本でも自己啓発の考え方として浸透しています。
この本では、日本でアドラー心理学の第一人者である岸見一郎が、ライターの古賀史健と共に、対話形式の物語でアドラー心理学の本質を教えてくれます。「トラウマは存在しない」「劣等感は、主観的な思い込み」「あなたは世界の中心ではない」など、誰しも一度は考えてしまうことにシンプルな解答を示しています。疑問に思うことは質問主である青年が全て上げてくれるので、実践するときに迷うことはありません。
アドラー心理学の示す解答はシンプルだけど、始めの内は受け入れるのに苦労する劇薬です。実行すれば人生が良くなることは想像できても、心に余裕がないと逆に潰れてしまいます。焦らずじっくりと本の内容を人生に取り入れていってみましょう。
アドラーの教えをより具体的に仕事に生かす
アドラーに学ぶ部下育成の心理学
Amazonで購入 | 楽天ブックスで購入 | 7netで購入 |
アドラー心理学を学べば、自分自身の改革方法はすぐにわかります。しかしいざこの考えをマネジメントの分野で活用しようとすると、何をすればいいのか悩んでしまいます。個別にアドラー心理学をじっくり教えている時間など仕事の現場ではありはしないから、具体的な方法を知りたくなります。
この本ではアドラー心理学に基づいて、「ほめない」「しからない」「教えない」の3本柱で部下の育成を行います。自主的な考えを身につけさせるために、「ほめる→主観伝達」「しかる→質問」のように自分の行動を改めることをすすめています。著者自身の実体験も絡めた育成方法は、部下の育成で行き詰っているなら試す価値があります。
従来のマネジメントの考えとは真逆に感じるかもしれませんが、この方法論は一つの真理です。厳密に3本柱を守らなくても、育成を続ければ部下に変化が現れます。有能な部下は自分の仕事の助けにもなるので、実行は早ければ早いほどリターンを得やすいです。
自己も他者もトコトン分析
ユング心理学入門
Amazonで購入 | 楽天ブックスで購入 | 7netで購入 |
ユングの提唱した分析心理学の理論は、言語の連想から深層心理の解明を目的としています。この心理学の手法で問いかけを繰り返し、「コンプレックス」を認識出来れば、悩み解決の手がかりになってくれます。100年以上昔の古典的な理論だから、すぐにビジネスの現場で生かすのは難しいけれど、基礎を学んでおけば相手のことを今より深く知ることができます。
この本は日本で初めてユング心理学の本格的な入門書として刊行されました。ユング心理学の重要キーワードである「タイプ」「コンプレックス」「個人的無意識と普遍的無意識」「心像と象徴」「夢分析」「アニマ・アニムス」「自己」について、専門用語を使わずかみ砕いた説明をしています。だから他のユング心理学の本を読むとき、この本が知識の土台となってくれます。
ユングの考えでは、突き詰めても明確な一つの答えが出ないかもしれません。しかし問いかけと分析は目指すべき方向性は示してくれます。即効性がないからと学ぶのを後回しにしていたら、後から学んだときにもっと早く知っておけばよかったと思える心理学です。
講義形式でフロイトの基礎がわかる
精神分析入門 (上巻)
Amazonで購入 | 楽天ブックスで購入 | 7netで購入 |
フロイトの考えの基本は、「人間の行動の背景には、無意識による心理的裏付けがある」と言うものです。たとえ意識的な行動であっても、行動のほとんどは無意識の影響を受けていると主張しています。今まで仕事で上手くいかず原因がよくわかっていないなら、フロイトの考えを学び自分を分析すれば、上手くいかない原因がつかめるかもしれません。
この本はフロイトが一般向けに大学で講義内容を記録したものであり、対話形式でフロイトの考えを学ぶことができます。上下巻で全35講義の内この上巻では、文面の大半を夢の分析方法に当てていて、自分の無意識を知る手がかりになります。第3部以降の神経症総論は、読んでおけば病院で診断を受けるときの予備知識にもなってくれます。
フロイトの考えは多少時代錯誤な所があるかもしれませんが、唱えている学説は町医者として現場で累積された統計的根拠に基づいています。自分の分析結果が予想外なものになっても、受け入れて問題解決の手がかりとして活用してみましょう。
日本人のための心理分析
「甘え」の構造
Amazonで購入 | 楽天ブックスで購入 | 7netで購入 |
アドラー、ユング、フロイトは確かに世界の心理学の分野において多大な影響を残しています。しかしこれらの考えの根底には、当然提唱者の生きてきた環境が影響していて、日本の社会風土と合わない部分もあります。そこで人間の心理を知るために、日本独自の考えから発展した理論で学べば、納得がしやすいです。
この本では日本独自の「甘え」という感情を、フロイトの精神分析をはじめ、多数の理論を比較検討して体系化し心理分析をしています。「甘え」という考えを切り口に、人間関係のあり方がどうあれば円滑に進められるのかがわかります。「甘やかし」や「甘ったれ」のはびこる現代で、この考えがわかっていれば、人間関係で理解不能に陥ることは少なくなるでしょう。
初版が出版されてから40年近く経ち、グローバル化が進む現代でも、「甘え」の考えは日本人の思考の根底に息づいています。扱いを間違わなければ、指導で行き詰っていた部下の成長を促し、ギスギスした関係も改善できます。