介護福祉-笑顔

 

一口に介護職とは言っても、働く施設によって求められる対応や受ける心的要因は大きく異なります。特別養護老人ホームや老人保健施設、ケアハウスにデイサービスセンターなど、施設利用者と関わる距離や時間による違いを認識していないと、悩みが深くなり仕事を続けるのが困難になってしまいます。そこで今回は施設別に介護の悩みを解決するおすすめの本を紹介します。今の職場である悩みは、職場を変えても似た悩みがすぐに発生します。解決策を身につけて仕事を続けられるようになりましょう。

 

怒りを収めて粛々と仕事

怒らない禅の作法

出版社 :河出書房新社
著者 :枡野俊明
価格(税抜) :1200円
ページ数 :200ページ
発売日 :2013/4/6
ISBN :9784309246161
Amazonで購入 楽天ブックスで購入 7netで購入

特別養護老人ホームでは、重度の認知症や寝たきりの人など、常に介護が必要な高齢者が入所しています。仕事は24時間体制で身体介護が中心になるので、人数が少ない職場だと満足に休みを取ることもできず、入居者との接し方は少しのことでも問題になりやすくストレスが溜まりやすい職場です。ストレスが溜まれば自然と口調は厳しくなりちょっとしたことでも怒りたくなります。しかし怒っても問題は解決しないので、怒りの鎮め方の修得が必要です。

この本では、怒りが生まれる原因は「考える」ことであり、「考える」ことは執着があるからだと主張しています。怒りの対象になる事柄について、少しだけでも考えることと執着することを止めるようにすれば、ストレスの溜まり方が緩和されます。紹介されている43の習慣は特別難しいことではないので、普段の仕事にすんなり取り入れることができます。

溜め込んでしまった怒りを爆発させても、一瞬スッキリするだけで人間関係はよりギクシャクしてしまいます。怒りを完全になくすことはできなくても、ストレスの溜まるスピードが緩和するだけで、心は楽になってくれます。

 

短い付き合いでもすぐに心をつかむ

人の心を一瞬でつかむ方法

出版社 :あさ出版
著者 :ジョン・ネフィンジャー 他
価格(税抜) :1500円
ページ数 :238ページ
発売日 :2015/5/21
ISBN :9784860637989
Amazonで購入 楽天ブックスで購入 7netで購入

老人健康施設では、入居者や施設側の都合で3ヶ月ほど経つと入れ替わりがあります。信頼関係が無いと問題が起きやすい24時間の身体介護だから、入居者一人一人と短期間で打ち解けられないと、仕事が苦痛になってしまいます。入れ替わりがあるので、毎回試行錯誤していては仕事負担が大きくなるばかりです。誰とでも打ち解けるための一般的なテクニックを身につけておけば、仕事が格段に楽になります。

この本では、人が第三者から親近感を抱いたり恐怖したりするのは、「強さ」と「温かさ」が要因だと言っています。人は無意識にこの2点で人を判断しているので、うまく使いこなせば人を引き付けられる人間になれるというわけです。「温かさ」は「共感」、「親しみ」、「愛」の三つから生まれ、たった一度でも「温かさ」の無い行為をすると、永遠に温かいイメージが損なわれる可能性があります。「強さ」は「能力」と「意思の力」が要因で、衣服のフォーマル度を高くしたり、手や肘を胴体からできるだけ離したりした方が、「強さ」をアピールできます。

普段の動作に本文で紹介されているテクニックを取り入れれば、今までより短期間で入居者と打ち解けることができるでしょう。入居者と打ち解けていれば仕事の難易度は格段に下がり、精神的疲労が溜まりにくくなります。

 

多忙な業務をそつなくこなす段取り力

頭のいい段取りの技術

出版社 :日本実業出版社
著者 :藤沢晃治
価格(税抜) :1300円
ページ数 :212ページ
発売日 :2007/12/20
ISBN :9784534043252
Amazonで購入 楽天ブックスで購入 7netで購入

ケアハウスでは、入浴やトイレを自立してできる入居者がほとんどです。介護の仕事は自然と身体介護より身の回りの世話や施設の管理、運動やレクレーションの指導が中心になります。少ないスタッフで多種の業務をこなさなければならないので、計画的に仕事をしないと定時で仕事を終わらすことは困難です。企画の作成などを自宅でやらないために段取り力を身につけ、仕事を効率的に回す必要があります。

この本では「サービス精神」と「フェイルセーフ思考」を段取りの基本とし、仕事を劇的に早くするための具体的対策を提案しています。「ゴールから現在地点を確認する」「完璧な仕事を目指さない。」「優先順位を管理する」など、当たり前だけど仕事に追われて忘れがちな基本です。精神論から入って対策を解説しているので、なぜその対策をするのかがよくわかります。

仕事に追われていると、仕事の質は下がり失敗も増える悪循環が生まれます。自分の段取りがうまく行ったら、施設のスタッフ全体の段取り改善も行ってみましょう。サービス残業が減り仕事の負担も軽くなってくれます。

毎回のネタだしに困らない

レクリエ 2016 7・8月

出版社 :世界文化社
著者 :世界文化社
価格(税抜) :1806円
ページ数 :120ページ
発売日 :2016/6/1
ISBN :9784418161171
Amazonで購入 楽天ブックスで購入 7netで購入

デイサービスの施設では比較的元気な高齢者が多いため、頻繁にレクリエーションを開催します。レクリエーションの企画は、障害がある人でも一緒に楽しめたり、みんなで楽しめるものにしたりと条件があります。少ない人数でアイデア出しをしていると、施設としてネタをストックしていない限りすぐに尽きてしまいます。ネタだしは時間外にやることも多く、参考になるものが必要です。

この本は高齢者介護を支援するレクリエーション情報誌で、2ヶ月に1回偶数月に発行されています。季節に合わせ壁画作りや工作、みんなでできるゲームを紹介しています。そのままコピーして使えるパズルや塗り絵が掲載されていることもあり、準備が格段に楽になります。バックナンバーも購入することができるので、直近の1年間分を揃えて置くのがいいです。

毎号購入しスタッフルームに常備して、みんなで共有することがこの本の効果的な利用方法です。レク中に発生する問題や協力してくれるボランティアの人の扱い方も掲載されていて、活用すれば施設利用者もスタッフも笑顔になれます。

 

プロ意識をもって基本を守る

介護職のための接遇マナー

出版社 :介護労働安定センター
著者 :蜂谷英津子
価格(税抜) :1900円
ページ数 :107ページ
発売日 :2016/2
ISBN :9784907035297
Amazonで購入 楽天ブックスで購入 7netで購入

介護訪問をしている人は、基本利用者と1対1で接するので親しい関係になりやすいです。親しくなると仕事がやりやすくなる反面、利用者から余分に仕事を頼まれたりちょっとしたことでクレームになったりします。原因は大人数を扱う施設での関係と違って、お互いが感謝の気持ちを忘れ関係が曖昧になるからです。訪問介護を続けるときは親しくなってもマナーを守り、仕事であることを意識しなければなりません。

この本では、いつの間にか忘れてしまった介護職としてのマナーを復習できます。社会人として当たり前の表情や言葉使い、身だしなみに態度など、新入社員だったころを思い出させてくれます。介護職として大事なホスピタリティマナーを学ぶこともでき、実践していけばプロ意識も自然と芽生えてきます。あってはならないけれど起こってしまうクレームの対応もあり、もしもの時も困りません。

訪問介護者は利用者の近くに住んでいる家族ではなく、サービスの提供者です。全てを曖昧にして利用者の要望ばかり聞いていると、自分の体調を壊してしまいます。長く仕事を続けるためにもマナーを身につけ、適度な距離間で利用者と接していきましょう。