中国-歴史

 

中国の古典は日本の古典よりなお古く、紀元前から読み続けられてきた名著があります。読めば数千年たってなお変わらない人間の性に驚き、何度も読み返せば読んだ時の年齢や立場によって、響き方が変わってきます。今回紹介する本は、それぞれ何種類も出版されているものの中から読みやすいものを選びました。いずれの本も一度読むだけではもったいない作品ばかりなので、できるだけ若いうちから読み続けることをおすすめします。

 

中国古典に触れるきっかけ作り

四書五経一日一言

出版社 :到知出版社
著者 :渡部昇一
価格(税抜) :1143円
ページ数 :234ページ
発売日 :2008/3/17
ISBN :9784884748074
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四書五経とは、儒教の中で特に重要視された経書の総称です。四書は「論語」「大学」「中庸」「孟子」、五経は「易経」「書経」「詩経」「礼記」「春秋」から成り立っています。中国の古典作品だけど、古来より日本でも重用され、人格形成や生きる姿勢を学ぶために読まれてきました。

この本では、一つの書だけでも人生のバイブルとして扱える四書五経のエッセンスを抽出し、著者の渡部昇一が実体験をもとにした解説をつけています。「苟に日に新たに、日日に新たに、又た日に新たなり。」「礼の用は、和を貴しと為す。」、「言は倫に中り、行いは慮に中る。」など、名言を半ページから1ページの解説なので、毎日読むのも苦になりません。日付もふられているので達成感もあります。

今まで中国古典に興味はあったけれど、読むのを躊躇していた人にこの本はピッタリです。まずは毎朝この本を数秒読んで心に刻んで一日を過ごせば、1年後には今と違う自分になれるでしょう。気に入った一言があれば原書を辿り、より深い教養を得ることができます。

 

人としてあるべき姿を説いていく

論語

出版社 :岩波書店
著者 :金谷治
価格(税抜) :960円
ページ数 :406ページ
発売日 :1999/11/16
ISBN :9784003320211
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論語は、古代中国の大古典「四書」の筆頭に挙げられる書で、中国の春秋時代における思想家孔子と弟子の会話をまとめたものです。一つ一つが会話の断片で、しごく当たり前のことが語られています。当たり前だからこそ2500年経ったいまでも読めばなるほどと感じられます。

この本ではシンプルに白文、書き下し文、現代語訳をセットにして、論語の全文が掲載されています。「止まりさえしなければ、どんなにゆっくりでも進めばよい」、「好きなことを仕事にすれば、一生働かなくて済む」、「人が自分を知ってくれないことを気にかけないで、自分に才能のないことを気にかけることだ」など金言・名言と言われる言葉がそこかしこに溢れています。

孔子の言葉から自分がどうするべきかを、自分で解釈する必要があるので、読みこなすには少し力が求められます。しかしそれを差し引いても得られるものは大きいです。持ち運びに便利な文庫サイズでどこからでも読める本なので、隙間時間にページをめくり、孔子の言葉を自分に言い聞かせやすいです。

 

現代のビジネスでも力を発揮する戦略書

新訂 孫子

出版社 :岩波書店
著者 :金谷治
価格(税抜) :600円
ページ数 :202ページ
発売日 :2000/4/14
ISBN :9784003320716
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孫子は、孔子より数十年後の時代を生きた軍事思想家です。中国最古の兵法書「孫子の兵法」として、曹操やナポレオン、東郷平八郎、本田宗一郎、ビル・ゲイツなど時代や国を超え、成功者が愛用してきました。兵法としての完成度は高く、問題に直面したときに活用できれば、成功への道が開けます。

この本は上述の論語と同じ著者が執筆し、本文も原文、読み下し文、現代語訳、注釈といた形になっています。「戦わずして勝つ」を戦略の基本とし、事前の準備や根回しがいかに大事かということが分かります。現代のビジネスでも求められるWin-Winの関係を築くためにも活用できます。組織の上の立場になるほど、戦略的な考えが求められるので、いつでもそばに起きておきたい本です。

孫子の解説書は数多出版されていますが、その解釈には多分に著者の考えが反映されています。しかしこの本なら解釈は全て自分ですることができるので、同じ文でも自分が置かれた状況ごとに何度でも解釈をし直せます。

 

まさにこれでいいのだ!

バカボンのパパと読む「老子」

出版社 :KADOKAWA
著者 :ドリアン助川
価格(税抜) :800円
ページ数 :201ページ
発売日 :2011/11/10
ISBN :9784047315648
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老子は古代中国の哲学者で、後に生まれた道教では始祖として扱われています。詳しい経歴は諸説ありまだ定まっていないですが、残された書物「老子」には「無為自然」の教えが説かれています。自分であれこれ考えないで、自然の摂理である「道=TAO」に沿って自分のあり方を見つめなおします。

この本では原文、書き下し文、現代語訳に加えて、バカボンのパパの気楽な口調でそれぞれ解説されています。目次に書かれた「からっぽで満々なのだ」、「信用しない人は信用されないのだ」、「どう生きるかがその人なのだ」などの一言だけで、その章の概要が分かります。いままで老子の読破に挑戦して挫折したことがある人でも、すんなり最後まで読めるでしょう。

頻発する災害に将来の不安など悩みの絶えない現代に、無為自然の教えは心を軽くしてくれます。無理に原文を読まなくても、バカボンのパパの解説を読むだけで、思想の本質に近づくことができます。

 

混迷の時代を生き抜く処世術

菜根譚 決定版

出版社 :PHP研究所
著者 :守屋洋
価格(税抜) :1600円
ページ数 :272ページ
発売日 :2007/3/20
ISBN :9784569691060
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菜根譚は比較的新しい中国明代末期の書物で、人とのかかわりを説く前集と、自然と閑居の楽しみを説いた後集で成り立っています。儒教、道教、禅が混じりあった考えは、中国より日本でよく読まれ今日でも人生の教訓として使われています。庶民やエリートなど、違う立場でも一方を悪としないで、それぞれの立場で実社会での立場を語っているので、自分がどの立場に置かれていても読み解くことができます。

この本では、菜根譚の全文を1文1~2ページで解説し、どこからでも読むことができます。現代語訳、書き下し文、原文の順に本文は構成され、漢文に抵抗がある人でも徐々にステップアップで読みこなせます。「何事も控え目に」「多弁の落とし穴」「水に流してもらう」など350編あまりの言葉には、現状の悩みと合致する事例が見つかるでしょう。

情報の多寡でなにが正しいのか自分では判断できなくなったとき、この本の教訓は根本から考え直すための指針になります。その時々の情勢に流されない生き方は安定感があり、過去を振り返ったときに後悔も少なくなります。