書店-客

 

本好きにとって本屋で働くことは幸せなことかもしれません。しかし外から見た書店と内から見た書店には大きな違いがあります。書店の仕事は体力勝負で、重い荷物を毎日運び続けます。レジに入っている時でも接客以外に、本の発注や伝票の整理、電話でも応対など休まる暇はありません。棚の本が売れれば補充をし、お店の立地よらず頻繁に掃除をしないとすぐにホコリが溜まってしまいます。入社してからガッカリしないように事前に書店員の業務を知っておきましょう。今回は思わず笑ってしまいそうになる話もある書店の業務が分かるおすすめの本を5冊紹介します。

 

バックヤードでも大忙し

ガイコツ書店員 本田さん 1

出版 :KADOKAWA
著者 :本田
価格(税抜) :550円
ページ数 :154ページ
発売日 :2016/3/26
ISBN :9784040681566
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実際に書店で働いている作者の本田さんが体験したエピソードが、コミカルに描かれた実録マンガです。コミック売り場の海外マンガを担当する本田さんの日々の戦いは爆笑必死です。

問い合わせの本が漠然としすぎて特定するのにアタフタしたり、連休前の大量入荷でバックヤードが惨状になったりと、お客として利用していては気づけないことばかりです。大きなお店になるほど一人でこなさなければならない仕事量は膨大になり、定時に帰るのも難しくなってきます。主人公がガイコツとして描かれているのも読めば納得してしまいます。

働いていると、好きなものに囲まれていても日々の多忙で嫌になるかもしれません。それでも書店員を続けられる理由があれば、仕事は楽しいものに変わります。苦労話のあとには作者自身の喜びが描かれ、本に関わるのが本当に好きなのだと思えます。

 

何も起こらない日なんてありえない

暴れん坊本屋さん完全版  平台の巻

出版 :新書館
著者 :久世番子
価格(税抜) :1000円
ページ数 :256ページ
発売日 :2012/10/25
ISBN :9784403671241
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初出が2005年で、作者が書店でバイトをしていた2000年~2006年頃の書店のお話です。現在ほどネット書店は発達していなかったから取り巻く現状は変わってきていますが、接客で起きる問題は今も変わりません。

万引きが書店に及ぼす影響の大きさや、売れ筋の新刊が入荷しないことによるクレーム、注文品の入荷に10日かかるなど、こんな事情があったのだと納得できます。本の紹介文である「泣いて笑ってときどき呪う(! ?)」という言葉も、読めば笑ってしまうけれど、働いている人からしたら切実な問題が満載です。

書店によったらキチンとしたマニュアルがなくて対応に困ったりします。この本にはよく起こりそうな問題が沢山紹介されているので、一度読んでおけばいざという時役立ちます。続刊で「棚の巻」もあるので合わせて読むといいです。

 

人の行動は時代が変わっても変わらない

書店員あるある

出版 :廣済堂出版
著者 :書店員あるある研究会 他
価格(税抜) :1000円
ページ数 :191ページ
発売日 :2012/11/27
ISBN :9784331516799
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著者とその仲間から集められた400以上のネタには、書店員が持っている「喜び」と「苦悩」が詰まっています。ネットで本が買える時代になっても本屋はこんなに楽しいのだと思わせてくれます。

「真夏に涼みに来るだけのサラリーマン」や「テレビで紹介していた本ある?ときいてくる(タイトル言わない)」、「一日中店で本を読んでいる人」など一度は自分でやったことがあることも見つかります。書店は暮らしの中で身近な存在なので、老若男女、職業も問わず人が訪れるから、抱える問題も多種多様です。

笑ってしまうけれど実際になんで?と思うお客はお店に来ます。自分ならどんな対応がとれるのかイメージしてみましょう。まずは聞かれた本を特定できるように、日々入ってくる新しい本に目を通していれば対応できます。知識をどんどん新しくしないとお客様にうまく対応できなくなってしまうので、日々勉強です。

 

作り手の気持ちを知って商品を大事に

重版出来!1

出版 :小学館
著者 :松田奈緒子
価格(税抜) :552円
ページ数 :206ページ
発売日 :2013/3/29
ISBN :9784091850409
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ドラマにもなった出版社の編集に新卒で就職した主人公が、仕事で頑張っていくお話です。書店そのものの話ではないけれど、書店と出版社や作者、お客様がどんな関わりにあるかが分かる本です。

タイトルは「じゅうはんしゅったい」で「じゅうはんでき」ではないです。業界用語が沢山出てきて、出版業界の仕組みが丁寧に描かれています。本を売るためのヒントを書店から得て営業につなげるなど、書店の棚づくりは周りに影響を及ぼします。1冊の本を作るにはたくさんの人が関わり、やっと生み出されたものだと再認識できます。

お店に1冊しか入荷しない本でも作り手の努力の結晶です。適当に陳列するのではなく、少しでもお客の目に留まるように工夫を凝らさなければならないと思わせてくれます。

 

書店としてできることはまだまだある

まちの本屋 知を編み、血を継ぎ、地を耕す

出版 :ポプラ社
著者 :田口幹人
価格(税抜) :1500円
ページ数 :171ページ
発売日 :2015/11/14
ISBN :9784591147399
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現在出版業界はネット書店が台頭し、市場が縮小、まちの小さな本屋は姿を消している状況です。この本は「まちの本屋」が生き残るにはどうすればいいのかを、本気で考えている書店員からの未来への提言です。

著者は書店に就職し5年半後に退職、実家の書店を継いで7年の苦闘の末廃業、別の書店に再就職という経歴の持ち主です。地域での本屋の存在意義を考え、本屋だからできることを実行しています。職場体験で中学生を受け入れたり、イベントの企画をしたり、図書館と書店の協働など、まちの本屋でもできることは沢山あります。 商品を売るためのノウハウも書かれ、小売りの悩みの解決もしてくれます。

本は好きだけど業界の先が暗そうだからと倦厭せず、本屋はまだこんなことができるのだと教えてくれます。本気で仕事をすれば結果も現れてきます。